フェムテックとは?~市場としての魅力や動向~

February 29, 2024

▼フェムテックとは?~市場としての魅力や動向~

SDGインパクトジャパンでは、女性やLGBTQの人々の社会的・経済的地位やWell-beingの向上、課題解決のための社会構造変化を目的としたジェンダーインパクト投資ファンドの立上げを検討しています。

ジェンダーインパクト投資ファンドの投資領域は、ファンドの目的に照らし合わせ、幅広い領域にまたがる想定です。そのなかでも、今月のコラムでは、注力領域の一つである「フェムテック」に焦点を当て、そもそもフェムテックとは?市場としての魅力や動向は?をご紹介させていただきます。

「フェムテック」概要

コラムをご覧いただいている皆さまは、「フェムテック」という言葉を耳にされたことがありますか?フェムテックは、「Female(女性)」と「Technology(テクノロジー)」をかけあわせた造語で、女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービスを指します。

フェムテックのテーマとしては、女性のライフステージに沿って、月経や避妊から不妊・妊娠、産後ケア、更年期があります。更には、乳がんや子宮内膜症などの女性特有疾患、性に対して心身ともに健康であることを指すセクシュアルウェルネスなども、フェムテックのテーマに含まれます。

これらテーマに付随する悩みやニーズを解決するための製品やサービスとして、テクノロジーが活用されており、例えば、月経の健康管理や避妊のための生理周期トラッキング、不妊治療に関連して在宅で生殖能力を分析する検査キット、妊娠や更年期障害の在宅ケアプラットフォームなどがあります。

このようにしてみると、女性の健康に関する課題とそのソリューションは多岐に渡り、フェムテックと一口に言っても、幅広いテーマが広がっていることが見えてきます。

各種情報よりSDGインパクトジャパン作成

市場としての魅力

ここまで女性の健康課題とフェムテックによる解決の可能性を見てきました。そこには大きな社会的インパクトがあることが伺えますが、ビジネスとしての魅力はどうでしょうか。

Fem Tech Analyticsのレポートによると、フェムテックの市場は、2021年の約253億ドル(約3.8兆円)から、2030年には約973億ドル(約14.6兆円)規模の市場へと高い成長率で拡大する見込みです。

Fem Tech Analyticsより引用

フェムテックが注目を浴びている背景には、一つ目に働く女性の増加があります。女性の社会進出が進む中で、女性特有の健康課題による社会的損失が意識されるようになってきています。経済産業省によると、女性の健康課題による日本社会の経済損失は、年3.4兆円に上るとされています。また、SDGsのターゲットの一つでもある、ジェンダーギャップ解消に向けた動きが推進される中で、これまでタブー視されてきた女性の健康課題に対する社会や女性自身の意識の変化・取り組みも加速しています。

こうした中で、社会全体・企業としても女性の健康課題の解決は急務となり、当然女性個人にとっても解決のニーズは大きい中で、その解決を実現可能にするテクノロジーの進化・普及も揃い、フェムテックは市場としての魅力の高まりを見せているのです。

海外では欧米を中心にフェムテックに特化したベンチャーキャピタルファンドも複数登場してきました。

各種情報よりSDGインパクトジャパン作成

フェムテックのスタートアップも続々と立ち上がっており、女性や家族の健康のためのデジタルヘルスプラットフォームを提供するMaven Clinicをはじめとしたユニコーン企業(企業評価額10億ドル以上の設立10年以内の未上場企業)も複数登場し、増加傾向を示すExitは、2021年までに105件になりました。2019年に上場した生殖医療の福利厚生サービスのProgynyは、2024年2月時点の時価総額が、約38億ドル(約5,700億円)にも上ります。

日本においても、女性の月経や妊活をサポートするためのモバイルアプリケーション『ルナルナ』や『Flora』などの製品・サービスが、多くの女性に利用されており、大手企業の福利厚生においても導入が進められています。

ここまで見てきたように、フェムテックは女性の社会進出やジェンダーギャップ解消の動き、更にはテクノロジーの進歩を背景に、これまで十分に満たされてこなかった女性の健康課題解決のニーズに応えるソリューションとして強く期待されており、一層の成長が見込まれる市場といえるかと思います。

結びに

女性の健康課題を解決するフェムテックは、社会的インパクトはもちろん、ビジネスとしてのチャンスも大きい魅力的なテーマです。

そして迫る3月8日は、ジェンダーギャップの解消を目指しグローバルな連帯を示す『国際女性デー』です。年々、関心の高まりを見せていますが、今年も様々なイベントの開催が世界中・日本各地で予定されています。皆さんもぜひ興味のありそうなイベントを探して参加してみてください。

SDGインパクトジャパンも、ジェンダーギャップ解消を始めとし、社会課題の解決に向け、一層努力してまいります。(SDGインパクトジャパン 山本美里)

▼イベント・セミナーのお知らせ

3月14日 ドルビックスコンサルティングxRIMM Japanウェビナー開催のお知らせ

総合商社の SX × DX 実践事例 ~サステナビリティ情報開示のトレンドから事業のグリーン化推進アプローチまで~」

デジタルを活用して経営・事業変革を推進する様々なサービスを提供しているドルビックスコンサルティング株式会社と、ESG評価ツールを開発・提供する当社グループ会社の株式会社RIMM Japanとの共催でウェビナーを開催いたします。

企業がSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)に取り組む意義と課題、解決方法を、事例とともに詳しくお伝えします。

日時:2024年3月14日(木)16:00~17:00 Q&A時間含む
参加費:無料(ご登録後、Zoom URLを含むご視聴案内をお送りします)
対象者:企業のサステナ推進部門/環境関連部門ご担当者様
主催:ドルビックスコンサルティング株式会社/株式会社RIMM Japan

【詳細・お申し込みはこちらから】
https://www.dolbix.com/seminar/detail004/

▼SIJの活動状況・ニュース

sustainacraft x SIJ カーボンクレジットセミナーを開催しました

2月26日に「自然資本への投資とカーボンクレジットの役割とは」と題したハイブリッドのセミナーを開催しました。

当日は約160名の方に会場ならびにオンラインでご参加いただき、どうもありがとうございました。環境省、コンサベーションインターナショナルジャパン、関西電力、三菱UFJ銀行、サステナクラフトにご登壇いただき、政策動向、カーボンクレジットが創出される現場、当分野における各企業の取り組みなどさまざまな側面から大変興味深いお話をしていただきました。

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Wataru Baba

Senior Fellow, Climate and Sustainability at Panasonic Group since 2022, where he accelerated the company’s growth through an integrated strategy for creating positive impact on climate change and established Sustainability Committee, chaired by the Group CEO. Board Member of Japan Professional Football League (J.League) and Independent Director for a civic technology nonprofit, Code for Japan, and a web3 startup, Financie, Inc