2026年版EDCI報告の変更点とは?ESG指標・KPIの最新動向を解説

2025年10月30日

EDCIが2026年に向けてESG指標を改訂。サイバーセキュリティ指標の新設やScope 3排出量の重要性判断など、実務者必見の内容を解説。

2026年のEDCI(ESGデータ・コンバージェンス・イニシアチブ)の報告テンプレートにおいて、プライベートマーケット向けのESG測定指標がアップデートされました。本記事では、新たに導入された指標や既存指標への変更点、企業価値創出との関連など、実務に直結するポイントをわかりやすく整理します。

なぜ今回の変更が重要なのか?

EDCIは、プライベートエクイティ市場におけるESGデータの標準化を目指す国際的な枠組みです。2026年に向けて行われた今回の「Metrics Sprint」では、153社のアンケートやフォーカスグループの意見をもとに、以下の重要な改訂が実施されました。

変更点のハイライト

1. 新指標の追加:サイバーセキュリティ

  • 新たなKPIとして「サイバー脆弱性テスト」が導入

  • NIST(米国国立標準技術研究所)ガイドラインに準拠

  • オプション扱いながら、GP・LP双方で高い優先順位を持つテーマ

2. 既存指標の改訂

  • Scope 3排出量の重要性確認(Y/N):全体排出量の40%以上かどうかを問う欄を追加

  • 短期目標のSBTi認証有無の明示:気候目標の信頼性向上

  • ファイナンスド・エミッションの精度向上:「アトリビューション・ファクター」の項目を新設(任意)

3. 価値創出との連動:商業成果タブの試験導入

  • ESG改善と企業価値向上の相関を測るため、「Commercial Outcomes」タブをパイロット導入

  • 今後の重要テーマとして注目される分野

今後のポイント

提出率は全体で向上傾向(例:Scope 3排出量 42%→49%、従業員満足度スコアは初の30%提出)ですが、一部指標では引き続き提出率が低く、開示の拡充が求められる状況です(特に再エネ活用や従業員エンゲージメント)。

今後は、サイバーセキュリティやScope 3などの「ESGリスク」への先行対応が企業価値の差別化要因になります。また、SBTiなど外部認証の有無が信頼性のカギになるため、明示的な開示を意識すべきでしょう。さらに、ESG改善が企業価値につながるロジック構築(KPI→商業成果)に向けた準備も進めることが大切です。

まとめ

2026年のEDCI改訂は、単なる報告義務の強化にとどまらず、ESGと事業戦略の接続を促す大きな一歩です。各社のサステナ推進担当者は、今回の変更を踏まえた社内体制の見直しやデータ整備を早急に進める必要があります。

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▼SIJの活動状況・ニュース

「NextGen ESG戦略アニュアルレポート2025」を発行しました

SDGインパクトジャパンでは日本の上場株エンゲージメントインパクト戦略に投資助言を行っており、この度「NextGen ESG戦略アニュアルレポート2025」を発行いたしました。
弊社では、投資先企業と密に連携し、ESG要素を企業活動の中心に据えるための深い対話と協働を通じて、企業の市場競争力を高めると同時に、持続可能な未来の構築にも寄与することを目指しています。

詳細はこちらから(弊社ウェブサイト)

「HARBOR Medical Innovation Challenge 2025@Science Tokyo」募集のお知らせ

弊社の関連会社であるBio Engineering Capital(BEC)は、医療系研究者・事業者・スタートアップを対象とした短期集中型アクセラレータープログラム「HARBOR Medical Innovation Challenge 2025@Science Tokyo」の募集をいたしました。本プログラムは、BECが主導するHARBORプログラムの一環として設計され、東京科学大学医療イノベーション機構(旧・東京医科歯科大学・東京工業大学統合)との共催により実施されます。

「HARBOR Medical Innovation Challenge 2025@Science Tokyo」 募集開始のお知らせ(BECのウェブサイトへリンクします)

▼イベント開催案内・報告

「Sustainable Business 2025」に登壇いたします

11月19日、20日にストックホルムで開催されるSustainable Business 2025に弊社CISO サシャ・べスリックが登壇します。企業の価値創造と持続可能性がどのように共存し得るかを探るとともに、日本の企業事例などをご紹介する予定です。

Hållbart Näringsliv 2025 – Di Event

第8回Sustainability Roundtable Sessionを開催しました

10月20日に欧州の独立系プライベート・エクイティ・グループ Argos をお迎えし、第8回Sustainability Roundtable Sessionを開催しました。当イベントでは、欧州の企業全体のCO₂換算排出量の約63%を占める中小企業(SMEs)の脱炭素化に向けたArgosの取り組みを具体的な事例を交えてご紹介しました。

Arogs(Home | Argos)

「日本・マレーシア環境ウィーク」に登壇しました

10月15-17日にクアラルンプール(マレーシア)において日本国環境省、マレーシア国天然資源環境サステナビリティ省の共催で実施された「日本・マレーシア環境ウィーク」においてパートナーの広瀬が登壇しました。

日本・マレーシア環境ウィーク

「SDG’s beyond the future society for Life」に登壇しました

10月2日に弊社社外取締役 中井 徳太郎氏とCo-CEOの前川が、大阪関西万博で行われる「SDG’s beyond the future society for Life」に登壇しました。

▼メディア掲載

10月7日付のNikkei GXに弊社のJCM事業が取り上げられました。

民間JCMファンド始動、クレジット分配 GX-ETSで需要

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馬場 渉

パナソニックホールディングス株式会社サステナビリティ担当。 コーポレートイノベーション、グリーントランスフォーメーションを担当した。 その後パナソニックグループの環境・エネルギー事業を担当し、 グループ経営戦略と一体化したPanasonic GREEN IMPACTの策定、サステナビリティ委員会、 環境エネルギー技術戦略会議などの設置に携わる。 それ以前は、SAPジャパン株式会社、SAP America Inc、SAP Labs LLCなどでビジネス、 研究開発、デザイン部門の経営を歴任。20年以上に渡り様々なセクターにおける イノベーションとサステナビリティを専門とし、 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、株式会社フィナンシェ、 Code for Japan、英Peace One Dayなどの取締役や理事、アドバイザーを務める。