サステナクラフトと自然由来のカーボンクレジットファンド設立に向け業務提携契約を締結

2024年02月13日

自然由来のボランタリークレジットとJCMクレジットを投資対象とした100億円規模の投資ファンドにより、累計900万トン規模のクレジット獲得を目指す

株式会社サステナクラフト (本社:東京都千代田区、代表取締役:末次 浩詩、以下「サステナクラフト」) SDGインパクトジャパン (本社:東京都千代田区、Co-CEO 小木曾 麻里、以下「SIJ」)は、自然由来の質の高いカーボンクレジットを投資対象とする本邦初の投資ファンドNature Commitment Fund(以下「当ファンド」)を近日設立します。当ファンドはSIJの100%子会社であるSIJ Climate合同会社によって運営され、2024年末までに総額100億円規模のファンドレイズを予定しており、今後5年でおおよそ累計900万トン規模のカーボンクレジットプロジェクトに投資を行うことを目指します。

背景とファンドの概要
世界の自然に基づく解決策(NbS: Nature-based Solutions、以下「NbS」)は、気候変動の1.5℃目標達成、生物多様性の喪失防止等に対する有効なソリューションであるにも関わらず、資金供給は大幅に不足していると言われています(*)。一方で、NbSのボランタリークレジットへの質の課題も度々指摘されてきました。

当ファンドは、カーボンクレジットを創出する質の高い自然由来のプロジェクトへの日本企業による投資を増やし、より多くのプロジェクトが適切に運用される環境を作り出すことを目的として組成されました。当ファンドでは、プロジェクトへの出資契約及びカーボンクレジットの長期オフテイク契約を行い、その値上がり益によるリターンを投資家に返しつつ、NbSプロジェクトへの資金供給を活発化します。

植林プロジェクトの例:プロジェクト実施前の荒廃した土地

(*) UNEP: https://www.unep.org/news-and-stories/press-release/doubling-finance-flows-nature-based-solutions-2025-deal-global

サステナクラフト及び SDGインパクトジャパン
サステナクラフト は、炭素循環やデータサイエンス、因果推論、森林科学などで博士・修士号を持つメンバーと、金融のバックグラウンドを持つメンバーの混成チームで構成されており、カーボンクレジットの組成・評価・分析・DD支援において多数の実績を保有しています。

学術論文や当社独自のプロジェクト案件データベースから、クレジット発行前/レジストリー登録前のような早期段階にある自然由来の炭素プロジェクト案件を定量・定性的に評価するフレームワークを開発してきました。

また、2023年10月には「自然由来の炭素・生物多様性クレジットの定量化に向けた技術開発」のテーマで、経産省のSBIR phase3における事業に採択されており、これまで開発してきた衛星画像分析によるモニタリングや、最難関の学術機関で認められた因果推論技術等に加え、環境DNA技術やそのほか現場での観測データを組み合わせ、生物多様性クレジットの創出に向けた研究開発・社会実装を進めています。

We are also contributing to the development and assessment of biodiversity credits by combining remote sensing and causal inference techniques with environmental DNA and other in-situ data.

SDGインパクトジャパン は、金融及びサステナビリティの専門家によって設立された、サステナブルファイナンスに特化した企業です。カーボンクレジットプロジェクトへの関与経験が豊富なメンバーも在籍しており、国内外の有力なパートナーと一緒にサステナビリティにフォーカスした運用戦略の組成・運営推進、サステナビリティ向上に貢献する事業のインキュベーションを行っています。本件の投資を通じて投資家への財務リターン創出と自然環境への貢献を実現します。

各社コメント
サステナクラフトからのコメント: サステナクラフト: 私たちは、SDGインパクトジャパンと共に、気候変動に対するNbSへの資源動員を加速できることを誇りに思います。ネット・ゼロと自然に配慮した経済には莫大な資本が必要であり、この移行を達成するためには企業の意欲的な貢献が不可欠です。以下でコメントをくれている海外のプロジェクト開発者やこの領域でのプレイヤーと、本ファンドでの活動を通して今後一層協業を加速し、私たちの会社のミッションであるNbSに対する資金循環の促進を進めていきたいと思います。

SDGインパクトジャパンからのコメント: 気候変動の緩和や生物多様性の保全といったグローバル課題の解決には、自然資本に対する資金動員が欠かせません。カーボンクレジットはNbSに対する資金の環流を推進すると共に、企業のネット・ゼロの目標を達成する重要な仕組みでありますが、近年では特にこの領域においてクレジットの質の問題も挙げられています。NbS領域に関わる深い知識と先進的なテクノロジーを有するサステナクラフトと協力して、本取り組みを通じて質の高いボランタリークレジットを創出することで、国や企業の垣根を超えて世界の重要な課題解決に向けて取り組んでいきたいと考えています。

カーボンクレジット市場のプレイヤーからのコメント

 – Ricardo Blandy, Commercial Director at re.green

“It is very exciting to witness the creation of a fund by Japanese companies focusing on the Voluntary Carbon Market. As an ecological restoration developer in Brazil, we have firsthand knowledge of the magnitude of the challenge and the imperative for investments that prioritize high quality and integrity-driven projects.”

– Fabio Sakamoto, CEO Biomas

“We are excited to hear that a Japanese corporate-led carbon fund has been launched that focuses on voluntary carbon credits. We look forward to closely working with this fund to mobilize capital for high quality nature-based solutions across the globe.”

– Lars Kroijer, Founder and CEO at AlliedOffsets / Advisor for sustainacraft, Inc.
“The next decade has the potential to be an explosive and exciting time for the voluntary carbon markets, and I am thrilled to be joining the Sustainacraft team as an advisor to help them realise their ambitious vision”

– Valerio Magliulo, CEO and Co-founder at Abatable“Abatable congratulates Sustainacraft and SDG Impact Japan on the establishment of their new, impact-focused fund to scale innovative projects and deliver a sustainable future for people and planet. We’re pleased to support the fund as a specialist sourcing partner, applying expert-led market intelligence and due diligence to help locate the initiatives that can unlock the fund’s contribution towards a nature-positive world.”

馬場 渉
マネージング・パートナー

パナソニックホールディングス株式会社サステナビリティ担当。 コーポレートイノベーション、グリーントランスフォーメーションを担当した。 その後パナソニックグループの環境・エネルギー事業を担当し、 グループ経営戦略と一体化したPanasonic GREEN IMPACTの策定、サステナビリティ委員会、 環境エネルギー技術戦略会議などの設置に携わる。 それ以前は、SAPジャパン株式会社、SAP America Inc、SAP Labs LLCなどでビジネス、 研究開発、デザイン部門の経営を歴任。20年以上に渡り様々なセクターにおける イノベーションとサステナビリティを専門とし、 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、株式会社フィナンシェ、 Code for Japan、英Peace One Dayなどの取締役や理事、アドバイザーを務める。