TICAD9におけるアフリカ経済成長と脱炭素

2025年08月30日

8月20-22日に6年ぶりに横浜で開催された「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」は「TICAD9横浜宣言」の採択とともに8月22日に閉幕しました。この宣言ではインド太平洋とアフリカの連結強化による多角的貿易の実現、官民連携を含むアフリカへの投資、脱炭素の推進などが重要なテーマとして掲げられ、今後日本とアフリカが連携して取り組みが推進されていくことが期待されています。

当社がインキュベーションとして事業開発を進めている「脱炭素・カーボンクレジット事業」では、特に二国間(Joint Creditiong Mechanism: JCM)クレジットの創出を推進しています。この事業でもアフリカにおけるJCMクレジットの創出に取り組み始めています。

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その一つが、下記のセネガルにおいて省エネ型コールドチェーンの導入を推進するプロジェクトです。今年5月にUNIDO(国連工業機関)が実施する”UNIDO-JCM for Africa Program”において採択され、現在本格的に開発をスタートさせています。

国際連合工業開発機関(UNIDO)による二国間クレジット制度(JCM)を活用した「セネガル共和国ジャムナジョ(Diamniadio)の食品冷蔵施設における自然冷媒を使用した省エネ型冷蔵施設及び太陽光発電の導入」の採択について
(環境省プレスリリース:https://www.env.go.jp/press/press_00122.html

本プロジェクトは、セネガルの首都近郊において、屋根置きの太陽光発電を備えた省エネ型の冷蔵施設の建設を通じて、脱炭素を推進しながらコールドチェーンの強化を通じて、都市近郊により新鮮な生鮮品を供給するとともに、農産物などの廃棄を削減する取り組みになっています。

この事業は、北アフリカ地域でコールドチェーン事業を手掛けるIFRIA社とパートナーシップを組んで推進します。IFRIA社はすでにモロッコで省エネ型のコールドチェーン事業を展開しており、そのノウハウを活かしてセネガルへの展開を進めています。IFRIA社は国際的な気候変動基金であるGreen Climate Fundの資金で、脱炭素インパクトファンドを運営する米国のPegasus Capital Advisorsの出資先企業でもあり、本件はIFRIA社、Pegasus社、当社で連携して推進しています。

当社とIFRIA社との連携は、TICAD9の署名文書の一つとして取り上げられました。TICAD9における署名文書一覧(No.193に記載)

また、石破総理をはじめとした日本・アフリカの首脳が出席する署名文書披露式典にも招待され、当社カーボンチームのソレン・プチコルが参加しました。TICAD9の署名文書は、TICAD8の92件を上回り過去最大の324件となり、その大半が民間企業によるもので、今後の人口増加、経済成長が見込まれるアフリカ市場への参入に対する企業の関心の高さが伺えます。

署名披露式典(当社は後方、写真左から3番目)

アフリカの経済成長は今後ますます期待が高まると予想されます。経済成長とともにエネルギーやモビリティなどのCO2排出の増加も見込まれる中で、パリ協定の1.5度目標の達成に向けて、経済成長と脱炭素を同時に達成できる新技術を早期から導入していくことが求められます。このような新技術の導入には追加的なコストがかかるため、革新的なファイナンススキームの構築が肝要です。JCMは、このような脱炭素と経済成長を実現する新技術の導入に対するファイナンスの仕組みとしてアフリカにおいて、今後益々注目が高まると思われます。

▼SIJの活動状況・ニュース

SDGインパクトジャパンとRen Energy、日本法人「Ren Japan」を設立

当社とサプライチェーンにおける企業向け再生可能エネルギー調達支援のリーディングカンパニーであるRen Energy(以下「Ren」)は、日本企業のグローバルなサプライチェーンと事業活動における再生可能エネルギー導入を加速することを目的に、新会社「Ren Japan株式会社」を設立いたしました。

詳細は下記プレスリリースをご覧ください
https://sdgimpactjapan.com/jp/sdg-impact-japan-and-ren-energy-announce-joint-venture-ren-japan/

RIMM Japanのニュース

当社子会社の株式会社RIMM Japanは、企業のSSBJ(サステナビリティ基準委員会)基準への対応をワンストップで支援する「myCSOパッケージ」を本格始動いたしました。ESGマネジメント支援プラットフォーム「myCSO」の進化により、ギャップ分析からレポート作成、整合性評価まで、ESG初心者の方でも安心して取り組めるよう、段階的かつ確実に始められる支援をご用意しています。

詳細はRIMM Japanウェブサイトをご覧ください
https://www.rimm-japan.com/news/item/3c63a3b4-8c06-4677-8a99-e6a76defb5a6

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馬場 渉

パナソニックホールディングス株式会社サステナビリティ担当。 コーポレートイノベーション、グリーントランスフォーメーションを担当した。 その後パナソニックグループの環境・エネルギー事業を担当し、 グループ経営戦略と一体化したPanasonic GREEN IMPACTの策定、サステナビリティ委員会、 環境エネルギー技術戦略会議などの設置に携わる。 それ以前は、SAPジャパン株式会社、SAP America Inc、SAP Labs LLCなどでビジネス、 研究開発、デザイン部門の経営を歴任。20年以上に渡り様々なセクターにおける イノベーションとサステナビリティを専門とし、 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、株式会社フィナンシェ、 Code for Japan、英Peace One Dayなどの取締役や理事、アドバイザーを務める。