持続可能な未来を創る 日本株投資の最前線

7月 24, 2026

持続可能な未来を創る 日本株投資の最前線
―NextGen ESG Japan Annual Report 2026

NextGen ESG Japan戦略の年次報告書「Annual Report 2026」が完成しました。本報告書は、2026年5月末まで当戦略の投資助言業務を担っていたSDGインパクトジャパンが作成したものです。なお、2026年6月以降は当社100%子会社であるSIJインベストメントパートナーズ(SIJ IP)*が当戦略の投資助言業務を承継しています。ぜひ全文をダウンロードしてご覧ください(ダウンロード方法は本文末をご確認ください)。

* 2026年5月末までSDGインパクトジャパンが当戦略の投資助言業を担っていましたが、6月より当社の100%子会社であるSIJ IPが投資助言業を行っています。本報告書に記載された運用実績、分析および見解は、SDGインパクトジャパンが投資助言業務を行っていた期間に関するものです。

日本・グローバルのESGトレンド

2025年は、地域ごとにESGを取り巻く制度・政策の方向性が大きく分かれた1年でした。米国ではエネルギー政策の転換によりクリーンエネルギー関連プロジェクトの見直しが相次ぎ、欧州でもOmnibus IパッケージによってCSRD(企業サステナビリティ報告指令)などの適用範囲が絞り込まれています。一方、中国では再生可能エネルギーの新設容量が過去最高を更新するなど、ESGをめぐる対話や制度整備は形を変えながら各地域で続いています。

日本では、こうした国際的な揺らぎとは対照的に、開示と対話の制度整備が着実に前進しました。2025年3月には日本初のサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)が公表され、2026年3月期からの任意適用が始まっています。Scope3を含む温室効果ガス開示も今後義務化の射程に入る見通しで、中小型株を含むサプライチェーン全体への影響が広がっていくと見られます。また2025年6月には、スチュワードシップ・コードが5年ぶりに改訂され、複数の機関投資家が連携する「協働エンゲージメント」の推進が明確に打ち出されました。

人的資本の観点では、2025年の春闘で大手企業の賃上げ率が平均5.39%と2年連続で5%を超えた一方、2024年度の実質労働生産性上昇率は前年度比+0.2%にとどまっています。賃上げを持続可能なものにするには、価格転嫁や事業構造の転換を通じた労働生産性の実質的な向上が欠かせない、という点が投資家の間でも論点になっています。

NextGen ESG Japan戦略とは

NextGen ESG Japanは、日本の中小型上場株式に着目した集中型のロングオンリー戦略です。日本の中小型株には、市場で十分に評価されていない企業が存在し、他の投資家が見過ごしている価値創出の機会が数多く存在すると考えています。深いファンダメンタル分析と経営陣との積極的な対話を組み合わせ、外部からの批評者ではなく、投資先企業とともに歩む長期的な対話を重視する投資家として、測定可能な改善を後押ししていく点が特徴です。

現在、25社の日本企業に投資しており、製造業・消費財・金融・小売など多様な業種でバランスの取れたポートフォリオを構築しています。ESG要因を企業の社会的責任としてだけでなく、事業戦略・企業価値と結び付けて管理することで財務パフォーマンスの重要な原動力にもなり得る、というのが私たちの投資哲学です。この規律あるアプローチのもと、設定以来(2022年4月~2026年5月)、当ファンドの年率ネットリターンは16.40%*、シャープレシオは1.48*となりました。

* パフォーマンスデータは、SDGインパクトジャパンが投資助言業務を担っていた期間、2022年4月から2026年5月における当戦略の実績です。NAV(手数料・費用控除後)に基づく内部算出値過去の実績であり将来の成果を保証するものではありません。シャープレシオは、月次ネットリターンおよびリスクフリーレート0%を用いて算出しています。

サステナビリティKPI ― 何を掲げ、何を目指すのか

NextGen ESG Japanは、GIIN(グローバル・インパクト・インベスティング・ネットワーク)のガイダンスに準拠したTheory of Changeに基づき、環境・社会・ガバナンス・ジェンダーの4つの目標を掲げ、各目標について2つのKPIで進捗を測定しています。目的は、脱炭素化・人材開発・ガバナンス改革・ジェンダー平等という社会課題への対応を、財務リターンとは別の「非財務目標」として明確に定義し、投資先企業とのエンゲージメントを通じて3~5年の時間軸で実際の改善につなげていくことです。

・環境:GHG排出削減に取り組む企業の割合、ポートフォリオの炭素排出原単位(WACI

・社会:重要な社会課題への方針・管理体制を開示する企業の割合、経営戦略と連動した人的資本戦略を開示する企業の割合

・ガバナンス:サステナビリティ課題とガバナンス体制を組み込んでいる企業の割合、独立社外取締役が33%を超える企業の割合

・ジェンダー:取締役・管理職における女性の平均割合、男女賃金差の改善が見られる企業の割合

進捗状況

ファンド設定時(2022年)と比較して、2026年第1四半期時点ではすべてのKPIが改善しています。投資先企業へのエンゲージメントを通じて、開示の充実とガバナンス・ジェンダー面での実質的な進展が進んでいることが見て取れます。

出所:NextGen ESG Japan Annual Report 2026「進捗状況(2026年第1四半期時点)」より

ケーススタディ:エンゲージメント事例

国内大手のインフラ・素材メーカーとは、ファンド設定来、財務とサステナビリティの両面から対話を継続しています。2023年以降は現代表取締役との定期面談を重ね、EVA導入や資本効率向上、Scope3削減、パーパス策定など多岐にわたるテーマを議論。2025年には人的資本経営について、同業他社との財務分析比較を用いながら「一人当たり営業利益の伸びに対して人件費の増加が少ない」といった具体的な指摘を行い、対話の半年後に発表された中期経営計画では、労働生産性の向上と人的資本の最大化が最重要経営課題として明記されました。

出所:NextGen ESG Japan Annual Report 2026「2025年エンゲージメント資料」(インフラ・素材メーカー)より

精密部品メーカーとは、2025年に人権に関する対話を開始しました。同社からの相談に応じ、投資家として期待するデュー・ディリジェンスの視点、優先順位付けの考え方、他社の先進事例などを提示する双方向型のエンゲージメントを実施。この対話を通じて、リスクの優先順位付けやプロセス指標の追加開示、M&Aや海外展開に伴うデュー・ディリジェンス体制の整備状況の確認など、具体的な進展が見られています。

出所:NextGen ESG Japan Annual Report 2026「2025年エンゲージメント資料」(精密部品メーカー)より

また、2025年第1四半期からは、アセットオーナー様との「協働エンゲージメント」も始まっています。事前協議・企業との対話・次回方針の検討というサイクルを回しながら、アセットオーナーの視点と当社のエンゲージメント専門性を組み合わせ、より実効性の高い対話を目指しています。

▶ Impact Report 2026 全文をダウンロード

コンセプト&戦略、Theory of Changeの詳細、KPIごとの進捗データ、エンゲージメント事例の全文は、Annual Report 2026にてご覧いただけます。ぜひ全文をダウンロードのうえ、当戦略の取り組みをご確認ください。

ダウンロードはこちら:sdgimpactjapan.com(お問い合わせ・資料請求ページ)

本資料は情報提供のものであり、特定の有価証券の売買を勧誘・推奨するものではありません。運用実績は過去の実績であり将来の成果を保証するものではありません。

▼SIJの活動状況・ニュース

インドネシア・Pungga水力発電所が商業運転を開始

2026年6月26日、弊社が代表事業者を務めるインドネシア・北スマトラ州のPungga水力発電所が商業運転を開始しました。環境省のJCM設備補助事業のもと、現地の水力発電事業者PT Mulya Energi Lestari(MEL)と共同で開発を進めてまいりました。弊社が出資・支援するJCM関連案件として初めて商業運転に至った事例で、今後はJCMクレジットの創出を通じて、インドネシアと日本の温室効果ガス削減目標(NDC)達成への貢献を目指します。

詳しくは弊社ウェブサイトをご覧ください ▶ リンク

Edinburgh Finance Festival 2026

2026年6月8日から20日にかけて英国・エディンバラで開催されたEdinburgh Finance Festival 2026に、弊社CISOのSasja BeslikとManaging PartnerのBradley Busettoが登壇いたしました。本フェスティバルはGlobal Ethical Finance Initiative(GEFI)が主催する、持続可能で倫理的な金融をテーマにした国際的なイベントです。2026年はアダム・スミス『国富論』刊行250周年にあたり、「Finance for All(すべての人のための金融)」を掲げ、気候変動対策や公正な社会の実現に向けた活発な議論が交わされました。

https://www.globalethicalfinance.org/edinburgh-finance-festival-2026/

弊社Co-CEO前川がMUFG主催「MUFG NOW」に参加

2026年6月3日、フィリピン・マニラで開催されたMUFG主催の国際会議「MUFG NOW」に、弊社Co-CEOの前川昭平が参加しました。同会議は「Innovate. Finance. Decarbonise.(革新・金融・脱炭素)」をテーマに掲げ、アジアにおける脱炭素の加速と、それを支える持続可能な金融のあり方をめぐって議論が交わされました。金融とテクノロジーを通じた社会課題の解決を目指す弊社にとっても、示唆に富む機会となりました。

https://www.bk.mufg.jp/global/globalnetwork/asiapacific/sustainabilityfinance/now/manila26.html

中井・前川がモルドバのエネルギー省と会談 ― バイオガス等の脱炭素事業を協議

2026年7月、弊社社外取締役の中井徳太郎氏(元環境事務次官)とCo-CEOの前川昭平が、モルドバ共和国のエネルギー省を訪問し、脱炭素を担当するカロリナ・ノヴァク次官(Secretary of State)らと会談しました。会談では、同国での脱炭素・再生可能エネルギー事業の開発と資金支援について意見を交わしました。現地企業の蒸留工程で生じる残渣(1日あたり約250トン)を嫌気性消化でバイオガスに転換し、年間10,000トン超のCO₂削減を見込むプロジェクトが検討されており、日本のJCM(二国間クレジット制度、モルドバは2022年に参加)の活用も視野に、両者は具体化に向けた対話を継続することで一致しました。

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馬場 渉

パナソニックホールディングス株式会社サステナビリティ担当。 コーポレートイノベーション、グリーントランスフォーメーションを担当した。 その後パナソニックグループの環境・エネルギー事業を担当し、 グループ経営戦略と一体化したPanasonic GREEN IMPACTの策定、サステナビリティ委員会、 環境エネルギー技術戦略会議などの設置に携わる。 それ以前は、SAPジャパン株式会社、SAP America Inc、SAP Labs LLCなどでビジネス、 研究開発、デザイン部門の経営を歴任。20年以上に渡り様々なセクターにおける イノベーションとサステナビリティを専門とし、 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、株式会社フィナンシェ、 Code for Japan、英Peace One Dayなどの取締役や理事、アドバイザーを務める。